トレイリングストップという注文方法をご存じでしょうか。
トレイリングストップは、薄利での決済や大きな損切りが続く方にぜひ試してみてほしい注文方法です。
主にFXトレードなどで使われる注文方法ですが、株式投資における売買にも活用できます。
今回は、トレイリングストップとは何かというところからメリット・デメリットまで詳しくみていきましょう。
この記事でわかること
- トレイリングストップとはどういう注文方法か
- トレイリングストップのメリット・デメリット
- トレイリングストップの自動注文が可能な証券会社
トレイリングストップとは

基本的な考え方(仕組み)を理解する
トレイリングストップは、「トレーリングストップ」や「トレール注文」などともいわれ、株価上昇とともに自身が設定したルールにしたがって逆指値注文のトリガーを引き上げていく注文方法になります。

株価が上昇しているときは一緒に逆指値注文のトリガーを引き上げていき、トレンドが変わって株価が高値から下落してきたら自動的に利益確定するといったイメージです。
逆指値注文のトリガーについては、「高値から○○円下がったら」や「前日安値を割ったら」など、自身でルールを決めてOK。
注意点として、株価が下がったからと言って逆指値注文のトリガーも下げてしまわないようにしなければなりません。
例)高値から○○円下がったら利益確定

例)前日安値を割ったら利益確定

ここで重要なのは、ルールを決めたらそのルールを絶対に守るという点です。
まだ株価は上がりそうだからといって、少し下がったところで逆指値注文のトリガーも下げてしまった場合、予想に反してそのまま株価がズルズルと下がってしまったら損失が大きく膨らむ可能性があります。
感情によって自身が決めたルールを破ってしまわないように注意しましょう。
注意ポイント
一度決めたルールを途中で変えたりしない
なお、逆指値注文について学び直したい方は『逆指値とは?指値と逆指値を使いこなす。』の記事も参考にしてみてください。
おすすめの活用方法
考え方を理解したら、活用方法について考えてみましょう。
基本的には利益確定のための決済方法ですが、新規銘柄を購入する際に役立てることもできます。
購入後すぐにトレイリングストップを実施
買いポジションで新規銘柄を購入する際は、もちろん「この銘柄はこれから上がる!」と考えて購入すると思います。
しかし、思い通りに株価が動いてくれるとは限りませんよね。
予想に反して急落することもありますし、逆に予想以上に大きく上昇するかもしれません。
もし急落したとしても損失を最小限に抑え、強く上昇を続けるなら保有を継続するという状況をつくれるよう、購入後は速やかにトレイリングストップを実践しましょう。
ポイント
新規銘柄を購入したらすぐに逆指値設定を行い、トレイリングストップを開始する
下落からの反発局面を逃さない
トレイリングストップは、下落からの反発局面でも効果を発揮します。
例えば、株価が下落中の銘柄の底入れが近いと仮定し、「現在の株価より○○円上がったら反発とみなして買い注文を入れる」といった方法です。

底入れから反転しそうだなと感じてはいるものの、しばらくチェックしていない間に急反発して株価が大きく上がっていたという経験をお持ちの方も少なくないと思います。
この方法であれば、そういった株価の急反発を逃さずに買い注文を入れることができます。
ただ、チャートにはいわゆる”ダマシ”というものも存在しますので、以下の点には注意しておきましょう。
注意ポイント
- ダマシに引っ掛からない程度に値幅を持って設定する
- 約定したらすぐに損切りラインを決めて利益確定のトレイリングストップを実施する
トレイリングストップのメリット

なかなか相場を見れなくても損小利大を実践できる
トレイリングストップは、普段忙しくてあまり相場を見ることができない場合でも損小利大を実践することができる、優れた注文方法です。
株式市場では、株価の急騰・急落が頻繁に起こります。
相場の急落が起こったときにすぐ対応ができない状況だったとしても、トレイリングストップを実施しておけば傷が浅くて済むという点は非常に大きなメリットです。
もし株価がレンジ相場に入っていたとしても同様に、いつくるかわからない急落に備えることもできます。

しっかり設定だけしておけば相場に張り付いておく必要もないですし、株価の上昇中は自動的に利益を最大化できますので、兼業投資家も安心して本業に集中することができますね。
感情を排除して取引を機械的に行うことができる
トレイリングストップのもう一つの利点として、売買判断から感情を排除できるという点が挙げられます。
株式投資においては、「買うタイミング」より「売るタイミング」の判断の方が難しいとよく言われます。
好調だった株価が下落傾向に入ったときに「すぐ値を戻すだろう」と利益確定をしないでいると、その後ズルズル値を下げて含み損に転じてしまい、結果として「またいつか値を戻すだろう」と塩漬け状態になってしまったということはないでしょうか。
自分の中で売買ルールを決めていたとしても、どうしても感情が邪魔をしてルールを守れないという方にはトレイリングストップが大きな効果を発揮します。
トレイリングストップを設定しておけば指定の株価になった際に機械的に売買を成立させてくれますので、これまで塩漬け株を多くつくってしまった経験がある方はぜひ試してほしいですね。
トレイリングストップのデメリット

押し目で決済されてしまい利益を逃す可能性がある
トレイリングストップは、あらかじめ設定したルールに則って逆指値のトリガーを引き上げていきます。
そのため、上昇トレンド中にルール以上の値幅の押し目がきた場合、押し目で約定されてしまってその後の上昇による利益を逃してしまう可能性があります。

株価は上昇トレンドであっても上昇と下落を繰り返しながらチャートを形成しますので、あまりに逆指値のトリガー設定に余裕がないとちょっとした押し目で約定してしまいます。
その後の上昇の機会ロスを防ぐためにも、逆指値の設定時はその点を考慮しましょう。
注意ポイント
逆指値設定のトリガー設定は、ある程度余裕を持たせた設定をしておく
手動で設定していく場合は手間がかかる
もう一つのデメリットとして、設定の手間が挙げられます。
株価は一定の値動きをするわけではありませんので、値動きの激しい銘柄では頻繁に逆指値注文の更新が必要になります。
株価の上昇に応じて逆指値注文の設定を毎回切り上げるのは手間がかかりますし、面倒ですよね。
そんなときに活躍するのが、自動売買です。
一部の証券会社ではトレイリングストップを自動で行ってくれるように注文を出せるサービスを提供していますので、こういったサービスをうまく活用できれば、手動設定で手間がかかるというデメリットは解消できますのでおすすめです。
ポイント
自動売買に対応してる証券会社を活用して手間を省く
注文時にトレイリングストップが設定できる証券会社

先述した、自動でトレイリングストップ注文ができる証券会社を紹介しておきます。
各証券会社で設定できる内容が少し違ったりしますので、自身にあった証券会社を選びましょう。
auカブコム証券

auカブコム証券は、「売り」でも「買い」でも注文が可能なため、トレイリングストップを自動で行う場合は一番使い勝手がよい証券会社になります。
これまで紹介した活用方法以外にも工夫次第でいろいろな活用ができますので、ザラ場の確認が難しい兼業投資家には非常に便利ですね。
なお、auカブコム証券はIPO投資の際にも活躍するので、口座を開設しておくことをおすすめします。
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楽天証券
楽天証券では、「トレイリングストップ」という名称で同様のサービスを提供してます。
しかし、楽天証券のトレイリングストップは、現物取引の売り注文と信用取引の返済注文のみで利用可能となりますので注意が必要です。
とはいえ、楽天証券はその他のサービスやツールが非常に優秀で、口座開設は必須の証券会社です。
買い注文は手動設定となってしまいますが、売り注文を出す際にはぜひ活用しましょう。
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岡三オンライン証券

岡三オンライン証券でも、「トレール注文」という呼び名でトレーリングストップのサービスを提供しています。
ただ、岡三オンライン証券の場合は注文を設定したトレーディングツールを起動している間のみ注文が有効となっているため、起動していなければ自動調整をしてくれません。
これは、常に相場に張り付いている専業トレーダー以外の投資家にとっては使いづらいかもしれませんね。
ただ、岡三オンライン証券はauカブコム証券同様、IPOで大きな力を発揮しますので、トレイリングストップで使用する予定がなくても開設しておきたい証券口座の一つです。
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まとめ
トレイリングストップは、『損失を極力抑えながら利益を追求する』という株式投資の基本となるような考え方を実践する上で、非常に有効な注文方法です。
手動で毎回設定するのは骨の折れる作業ですが、自動で調整してくれる証券会社を活用すれば手軽に行うことができます。
「少し前まで含み益だったのに、最終的にはいつも損切りになってしまう」という方にはぜひ試してみてほしい方法になりますので、まずは実際に何度かやってみて、経験を積みながら自身のルールを固めていきましょう。
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記事内で紹介したauカブコム証券や岡三オンライン証券は、IPOにも強みを持っています。