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東証の市場再編とは?いつ何がどう変わるのか

東証の市場再編とは

2022年4月より、東証の市場区分が現在の4つの市場区分から、3つからなる新市場区分へと再編される予定です。

今回は、約1年後に迫っている市場再編に関して、いつ何がどう変わるのかについて詳しくみていきたいと思います。

再編の目的

まず、なぜ再編を行うのかという点についてです。

東証が2020年2月21日に発表している「新市場区分の概要等について」という資料に、「市場区分見直しの目的」が明記されています。

日本取引所グループは、現在の市場区分を明確なコンセプトに基づいて再編することを通じて、上場会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え、国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供することにより、豊かな社会の実現に貢献することを目的として、市場区分の見直しを行います。

出所:新市場区分の概要等について

簡単にいうと、「現在の市場区分を、もっとそれぞれのコンセプトを明確にした市場区分に変更します」ということです。

現在、東証一部に上場している企業の数は約2,200社ほどあります。

これは上場している企業の約60%を占め、本来は選ばれた大企業であるはずの東証一部上場企業の数が一番多いという、おかしな状況となってしまっているのです。

理由として、東証一部への昇格基準が緩いことなどが挙げられ、トヨタのような時価総額1兆円を超える大企業と時価総額数十億円の企業が混在しているなど、市場の位置づけも非常に曖昧です。

その点を解消するため、コンセプトをもっと明確にした市場区分に変更するということが、今回の市場再編の目的となっています。

東証一部銘柄を減らしたい

市場のコンセプトを明確にすることが目的であると書きましたが、一方で、増え過ぎた東証一部銘柄を選別して減らしたいという意図もあります。

現在東証一部に属している全ての企業が、新市場区分で最上位にあたる「プライム市場」にそのまま移行できるわけではありません。

詳しくは後述しますが、最上位市場となるプライム市場は上場基準がより厳しくなっている上、移行するにも流通時価総額などの条件が設定されているため、現時点では約600社ほどが基準を満たせない状況です。

欧州の主要な市場では最上位市場の銘柄数を500銘柄ほどに抑えて市場の魅力を高めている点を考慮すると、プライム市場も銘柄を絞って市場の価値を向上させ、海外からの投資マネーを呼び込みたいという狙いもあるのです。

市場区分

現在の市場区分

まず、現在の市場区分のおさらいです。

現在の市場区分は、「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」「マザーズ」の4つに区分されています。*PRO Marketも加えると5つ

それぞれの市場について、簡単に説明しておきます。

  • 市場第一部・市場第二部:国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場
  • マザーズ:近い将来の市場第一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場
  • JASDAQ:正確には「スタンダード」と「グロース」という内訳区分を設けており、信頼性・革新性・地域/国際性という3つのコンセプトを掲げる市場
日本取引所グループ 新規上場基本情報より

ちなみに、2/5時点での上場会社数は以下の通りです。

また、参考としてそれぞれの市場に新規上場する際の主な審査基準を載せておきます。(2020年11月1日現在)

これ以外に、経営成績や財務状態なども上場申請を行うにあたって求められる要件となります。

新市場区分

ここからは、新市場区分についてみていきましょう。

新市場区分は、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つに分かれます。

プライム市場

プライム市場は、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備える企業向けの市場」というコンセプトになります。

上場基準の概要は下記です。

日本取引所グループ 「新市場区分の概要等について」より

スタンダード市場

スタンダード市場は、「公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備える企業向けの市場」というコンセプトになっています。 

上場基準の概要は下記です。

日本取引所グループ 「新市場区分の概要等について」より

グロース市場

グロース市場は、「高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる企業向けの市場」というコンセプトの市場です。

下記、上場基準の概要になります。

日本取引所グループ 「新市場区分の概要等について」より

新規上場における現在の市場区分との比較

新規上場における基準について、主なものを新旧の市場区分で比較してみます。

新市場区分への移行

ここからは、具体的な移行スケジュールについてみていきましょう。

スケジュール

2021年2月5日時点において、新市場区分への一斉移行日は2022年4月1日を想定されています。

移行までの簡単な流れをみると、下のようになります。

  1. 新市場区分の制度要綱の公表
  2. コーポレートガバナンス・コードの改訂
  3. 6月末を基準日として、新区分への適合可否を通知
  4. 上場会社による市場選択
  5. 一斉移行

日本取引所グループより発表されている「新市場区分の概要等について」に詳しいスケジュールや現行制度の新規上場・市場変更等の基準に関しての説明も記載されていますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

市場区分の選択と経過措置

上場会社は各市場区分のコンセプトや上場基準を踏まえて、移行時に新市場区分を選択することができます。

2021年6月末日を移行基準日とし、新市場区分の上場維持基準に適合しているかの通知を受けた後、9月~12月までの期間で市場選択・手続きを行うという流れです。

ただ、一斉移行にあたって、選択した市場区分の上場維持基準に適合していない場合もあります。

そのときは所定の手続きを経ることで「経過措置」が適用され、定められた期間内に上場維持基準への適合ができなければ経過措置の適用対象から除外されてしまうことになります。

基本的には、下の図のような新市場区分の選択が想定されています。

TOPIXの見直し

現在は市場第一部銘柄で構成されるTOPIXについても、見直しが行われます。

基本的には新市場区分への移行となる2022年4月1日時点でのTOPIX構成銘柄は、新市場区分での選択先に関わらず継続してTOPIX構成銘柄として継続採用されます。

しかし、流通株式時価総額100億円未満の銘柄は段階的にウエイトを低減され、2025年1月末にTOPIXから除外されてしまいます。

本件についての詳細は日本取引所グループより発表されている下の資料から確認することができます。

TOPIX(東証株価指数)等の見直しについて(サマリー)    参考資料2

まとめ

以上、2022年4月1日に行われる市場再編の概要になります。

株式投資を行っている方にとっては非常に重要な事項であり、一斉移行までは投資における戦略にも大きく影響することが予想されます。

今後も日本取引所グループからの発表を定期的に確認し、自身の投資判断に役立てていきましょう。

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