「銘柄に惚れるな」とはよく言ったものですが、今回は銘柄に惚れてしまった件について、自身の結果を交えてお伝えしようと思います。
投資記録を見直したところ、私は株式投資を始めてからの2年半ほどで278回の取引を行っており、そのうち81回を4つの銘柄のみで行っていることがわかりました。
市場には3700程の銘柄が上場しているというのに、全取引の3割近い取引を4銘柄だけで行っていたことになります。
見事に惚れてしまったこの4銘柄について、銘柄に惚れることは結果として良かったのか悪かったのかを自分なりに振り返ってみたいと思います。
目次
実績

内訳
まず、4銘柄をM社・Y社・P社・B社として進めさせて頂きますが、81回の取引の内訳と銘柄の業種、取引していた時の株価水準、惚れていた期間について、下の表をご確認下さい。

損益結果
結果からお伝えすると、それぞれの損益は以下のようになりました。

上の2社は最終的に利益が出ていますので、最高に幸せな恋となりましたが、下の2社、特にB社には完膚なきまでにフラれました(笑)
全銘柄に共通して言えることは、購入してから間もなくして比較的大きめの金額を利益確定したという点です。
確定利益の欄を見るとわかるように、大きな損失を出したB社でさえ利益確定した取引がありました。
やはり第一印象が良いと、追いかけたくなってしまうものなのでしょうか。
以上の状況を踏まえて、この4社への恋を振り返ります。
成就した恋、振り向いてくれなかった恋
銘柄に惚れて成功した取引の共通点

下記、最終的に利益を出した2銘柄(M社・Y社)の共通点を挙げてみました。
- 順張り
- 業績が好調
- 株価指標が割安(PER 10倍以下)
2銘柄とも株式投資を始めて数か月で手掛けた取引だった為、当時はPERやPBRなどのオーソドックスな株価指標でスクリーニングをかけ、決算を順調に通過したというぐらいの根拠で購入したものです。
当時は握力がかなり弱かったのと取引したがりの時期だったので、細かく利確や損切りを繰り返していましたが、上昇のモメンタムが強かったことにも助けられて最終的には非常に大きな利益を生んでくれました。
成功の理由としては、長く監視し続けたことで、ある程度銘柄のクセや値動きが予測できたことです。
また、日足・週足ともにチャートはきれいな上昇トレンドを形成しており、どこで入ってもある程度の期間保有していれば利益が出るような状況でした。
トレンドがハッキリしていたという点も、損失が少なかった要因だと思います。
ちなみに、利益を生んでくれた2銘柄でしたが、最後は比較的大きめの損失を計上して撤退しています。
銘柄に惚れて失敗した取引の共通点

次に、最終的に損失を出した2銘柄(P社・B社)の共通点を挙げてみます。
- 逆張り
- 購入理由が、共に”直前に急騰した為、更なる上昇を期待”
- 損切り後、下げ止まりを期待しての再購入が多い
- 急落で思考停止してしまい、損失が拡大
- Yahoo!ファイナンスの掲示板が楽観的
冒頭で少し触れた通り、損失を計上した2銘柄でも始めは利益確定しています。
今思えばM社・Y社で大きな利益確定をした後で気が大きくなっていたこともあり、「この銘柄も相性が良い銘柄だ!」というイメージが先行し、多少の損失を出しても取り返せるという勝手な思い込みで取引をしてしまっていました。
また、2銘柄とも直前の高騰で上昇のモメンタムが強く、高値で購入してもそれを上回る上昇が数回あった為、上昇トレンドがしばらく継続すると判断していました。
しかし、その後すぐに下落を始めます。
頭の中は上昇トレンド中だと思い込んでいるので、押し目を拾おうぐらいの感覚で「落ちるナイフ」を拾い続けます。
心理状態としてはこんな感じです。

「この銘柄は大丈夫、ここから反転する!」と思い込んでいた結果、ジリジリとした下げに付き合った挙句に悪材料IRで急落して身動き取れなくなり、しばらく塩漬け状態となりました。
教訓

銘柄に惚れてしまうと、たとえ下落を始めようが盲目的にこの銘柄は大丈夫だと勝手に信じてしまって、なかなか損切りを行えなくなります。
結果、損失を拡大してしまい、最悪塩漬けです。
これを防ぐには損切りのラインをあらかじめ決めておき、この水準より下がったら損切りを実行するという機械的な作業が必要です。
また、自身の取引がうまくいっていないと、他人の意見を必要以上に意識してしまいます。
Yahoo!ファイナンスの掲示板には本当に振り回されました。
初心者はどうしても自分に自信が持てない為、経験者っぽい人の意見を鵜呑みにしてしまうことがよくありますが、そこは一旦冷静になって自身がその銘柄を購入する理由を明確にした上でポジションを取った方が良いと思います。
他人の意見に流されたり、そろそろ切り返すだろうといった曖昧な理由で取引をせず、再インする場合はなぜこの銘柄を再び買おうとしているのか、今購入しなければならない理由は何なのかなどを一旦冷静になって整理し、どうしても今だ!となった場合は買ってみても良いと思います。
ただし、その際は購入する理由やその時の感情を投資記録に細かく記して残しておくことをおすすめします。
例えまた失敗したとしても、どの想定が崩れたからダメだったのか、損失を出しているのになぜこの銘柄にこだわっていたのかなどを後日冷静になって認識することができるからです。
自身の取引や心理的な傾向を把握しておくことは、今後の投資生活で必ず役に立ってくると思いますので、是非試してみて下さい。
整理しますと、銘柄に惚れて損失に繋がってしまった取引からの教訓として、以下に気をつけると良いでしょう。
ポイント
- 購入する場合はその理由を明確にし、なんとなくや勢いで取引しない
- 損切りはルールを決めて、逆指値で機械的に行う
- Yahoo!ファイナンスの掲示板やSNSの情報を鵜呑みにしない
- 順張りに徹する
- 取引記録をつけて自身の取引や心理的傾向を把握する
まとめ
「銘柄に惚れるな」をテーマに振り返りましたが、個人的な考えとしては惚れる相手を選ぶことが重要かなと思います。
素直な相手(銘柄)だと値動きも読みやすくて利益を上げやすいというメリットがありますし、クセのある相手(銘柄)には振り回されて消費します。
以前利益を出させてもらった銘柄などは印象が良い為、購入時のハードルが下がりがちです。
大切な資産ですから、安易な購入に走らずに毎回購入理由を明確にする事や想定と違った場合の機械的な損切りの実行を徹底し、それぞれの銘柄とうまく付き合っていけるようにしましょう。