参考データ

時価総額でみる 業種別の新型コロナウイルスの影響(1~3月)

1月に中国武漢市から世界中に広まったコロナウイルスは4月に入った今でも終息の気配を見せません。

国からは緊急事態宣言が7都府県に発令され、国の指定から外れた自治体は独自の緊急事態宣言を発令するなど、まだまだ混乱は続くと予想されます。

”Stay Home”を合言葉に、いつもは人で溢れる都市部は閑散とした状態が続いており、メディアではサービス業を中心とした事業主の苦悩を伝え続ける日々です。

ただ、新型コロナウイルスによる影響はサービス業に限ったことではありません。

今回は新型コロナウイルスの影響を大きく受けている業種を、JPX(日本取引所グループ)が公開している「業種別時価総額(市場第一部)」のデータを活用し、コロナ前の2019年12月末からコロナ渦中の2020年3月末時点で時価総額をベースにまとめてみました。

市場別 前年との比較

まず、市場別のまとめになります。

月によって銘柄数に変動がありますので、1銘柄当たりの時価総額を算出して比較しています。

市場一部、二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード)の4つの市場について、3ヵ月の推移をご覧下さい。

2018年12月末~2019年3月末

昨年は年末に米中貿易戦争の影響で大きく調整していた影響もありますが、年明けからどの市場も順調に推移しています。

中でもマザーズやJASDAQ(スタンダード)といった新興市場が好調で、3月末まで好調に時価総額を伸ばしています。

一部・二部は、3月に一旦調整していますね。

2019年12月末~2020年3月末

次に、今年の1月から3月の推移です。

1月の中旬から末頃にかけて新型コロナウイルスの影響が出始めており、時価総額は下がり気味です。

しかし、2月に入ってからは一気に暴落し、2月末時点の時価総額は1月末に比べて全市場で2ケタ超えの下落となっています。

マザーズに関しては3月に入って下落幅がさらに拡大しています。

市場別 前年比較(新型コロナウイルスの影響)

こちらは、昨年との比較です。

新型コロナウイルスの影響により、全市場で昨年に比べて時価総額の下落幅が非常に大きくなっています。

昨年は12月末からの3カ月で15%以上の伸びをみせていたマザーズですが、今年は3カ月で37.52%の暴落となっています。

その他の市場も2019年12月末と比較し、市場一部で19.41%、二部で28.82%、JASDAQ(スタンダード)で26.67%の大幅下落です。

市場一部に比べて、新興市場の方が新型コロナウイルスの影響が大きかった様です。

次に、業種別の状況をみていきましょう。

業種別 新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響度を、12月末から3月末までの1銘柄当たりの時価総額の下落率で順位付けしました。

大きく影響を受けている業種ランキング

鉱業   -43.98%

海運業  -38.99%

鉄鋼   -36.83%

空運業  -34.08%

非鉄金属 -31.86%

イメージとしては飲食関連や航空業界、旅行業界などへの影響が強いと思いますが、下落率の1位は”鉱業”という結果となっており、唯一40%を超える下落幅を記録しています。

鉱業は2月末から3月末にかけての下落が非常に大きかったのですが、これは原油価格の大幅な下落が関係しています。

新型コロナウイルスの流行による世界的な需要減と、それに伴いサウジアラビアがロシアに仕掛けた「価格戦争」の影響により、石油を扱う鉱業の各社が打撃を受けています。

旅行業界が属するサービス業は非常に多くの企業数で構成される業種の為、全体としては影響が大きいベスト5には入っていませんが、個別では強いインパクトを受けている企業が多くある点は認識が必要です。

比較的影響が小さい業種ランキング

電気・ガス業 -5.36%

パルプ・紙  -6.94%

医薬品    -7.01%

食料品    -9.08%

情報・通信業 -9.51%

今回の新型コロナウイルスによる暴落の影響が小さかったのは、やはりディフェンシブ関連と言われる生活必需品や食料・医薬品、電気・ガスといった社会インフラ系の業種ということになりました。

1位の電気・ガス業から4位の食料品まで、2月末までは他の業種同様に下落したものの、3月末には前月末比でプラスに転じています。

また、上記の5業種は昨年末からの下落幅が10%以内に抑えられています。

業種別 時価総額推移

最後に、全業種の推移を一覧でまとめます。

2019年12月末~2020年3月末

こちらが、業種別のひと月毎の前月末比です。

全業種で1月末から2月末にかけて大幅に下落していますが、3月については業種によって明暗が分かれる状況となっており、一部のディフェンシブ業種では2月末比でプラスに転じている業種もあります。

しかし、3月末時点で2019年12月末の水準まで戻している業種はまだありません。

まとめ

今回は1月から3月までの3カ月間の推移を追いましたが、まだまだ新型コロナウイルスの影響は続くことが予想されます。

大きく落ち込んでいる業種の銘柄を拾って大きなリターンを狙うか、ディフェンシブな業種への投資で精神的な負担を小さくしながら運用を続けるのか、もしくは終息するまで休むのか、個人のストレス耐性や投資手法に応じて対応が全く変わってくると思います。

世界中が混乱して多数の死者も出ている様な状況の中で不謹慎ではありますが、今回の一連の事態は、これまでなんとなく市場に参加してきたポンコツ投資家目線で考えると、社会や経済・企業規模や事業内容などといったあらゆる面で深く考えさせられると共に、今後も株式投資を継続していく上で非常に良い経験になっていると思います。

今自分ができることは”外出を控えること”しかありませんが、一刻も早い新型コロナウイルスの終息を祈りつつ、投資家としての知識や経験を積み上げていきたいと思います。

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