皆さんは株式投資における取引記録をつけていますか?
トライ&エラーを繰り返して自分に合った手法を見つけていくことは非常に重要ですが、成功や失敗の経験を積んでいったとしても、取引における記録を残していなければ振り返って検証することができません。
そこで今回は、エクセルを活用した取引記録のつけ方についてご紹介します。
目次
取引記録の重要性

成功と失敗の傾向を知る
株式投資において、成功者の考え方や手法を学んで自身の取引に取り入れていくことは成功への近道です。
しかし、成功者の手法がそのまま全て自分に当てはまるかというとそうではありません。
利益を伸ばすために保有し続ける握力や含み益を抱えたときの精神的な耐性など、個人の性格によってその手法が合う方もいれば合わない方もいます。
自身の株式投資における傾向を知るという点においても、取引記録は非常に役立ちます。
利益確定ができた取引だけをみてみると同じような傾向があることがわかったりしますし、その逆も然りです。
取引記録をつけることは自分自身の取引傾向を把握し、今後の売買判断に活かすことができるというメリットがあります。
銘柄の傾向がわかる
また、取引記録をつけることで銘柄の傾向もわかってきます。
これは、保有していた銘柄を売却して再び買い直そうとする際に非常に役に立ちます。
株式投資を続けていると銘柄ごとに値動きの”クセ”のようなものがあることに気づく場合があるのですが、取引記録をつけているとそういった”クセ”の記録が情報として活用できる場合があります。
例えば、「この銘柄は決算後はいったん売られる傾向が強い」だとか、「定期的に仕出株のように急騰することがある」などですね。
何度手掛けても利益を出せるような自分との相性がいい銘柄を把握できる点も、取引記録をつけることをおすすめするポイントの一つです。
取引記録のフォーマットを作成する

項目を決める
では早速、取引記録をつけるにあたっての項目を決めていきましょう。
まず、「いつ・どの銘柄を・いくら買った」かがわかり、「いつ・その銘柄を・いくらで売った」かという情報は必須ですね。
また、利益が出たのか損をしたのかという点も加えておきたいところです。
その辺りを考慮すると、基本的な項目としては次のようなものが挙げられます。
取引記録の基本的な項目
- 日付情報(購入日・売却日)
- 銘柄情報(銘柄コード・銘柄名・市場など)
- 購入情報(買値・取得枚数・購入金額など)
- 売却情報(売値・売却金額など)
- 損益情報(損益率・損益金額など)
このあたりをベースに、信用取引を行っている場合は”買建”か”売建”かの項目を入れたりするなど必要に応じてカスタムしていくとよいでしょう。
取引を判断したときの気持ちや状況も記録する
もう一つ、取引記録をつける上でぜひ入れてほしい項目があります。
それは、”売買判断に至った理由”です。
株式を買ったり売ったりするときは、何かしらの理由があって判断していると思います。
例えば、「株価が割安だと判断し、購入」とか「大きく下落したので損切り」などですね。
これに加えて、そのときの気持ちや状況も具体的に記録しておくと後々見返したときに参考にしやすいです。
例として、先ほどの「大きく下落したので損切り」の例をもう少し詳しく書いてみましょう。
記入例
「株価が勢いよく上昇していたため高値圏の懸念がある中打診買いしてみたが、地合いの悪さもあって上昇分を消すほどの急落となったため、慌てて注文を入れて損切りした」
このように記載しておけば、『高値圏だと感じているのに買ってしまった』『売却タイミングを計画しておらず、狼狽売りしてしまった』などの反省点がより明確になりますね。
結果を記録として残すことも大事ですが、その結果に至った過程や心情を加えることで更に役に立つ資料となりますので、必ず”売買判断に至った理由”の項目は入れるようにしましょう。
実際にフォーマットをつくってみる
では、これらの点を考慮して実際にシートをつくっていきます。
まずは基本項目の入力です。

次に、計算が必要な項目には数式を入れておきます。
ここでいうと、”購入金額””売却金額””損益率””損益金額”が該当しますね。
- 購入金額 = 買値 × 枚数
- 売却金額 = 売値 × 枚数
- 損益率 = 売却金額 ÷ 購入金額
- 損益金額 = 売却金額 ー 購入金額
では、計算式を入れてみましょう。

計算式を入れたら、金額部分にコンマを入れたり+(プラス)やー(マイナス)によって色を変えたりといった細かい調整をかけて見やすくしておきます。
項目に色づけしたり罫線を入れたりしてもいいですね。

これでフォーマットの作成は完了です。
実際に作成したフォーマットに入力してみると、このようになります。

考慮しておくと便利なポイント

基本的なフォーマットは完成しましたが、いざ過去の取引を見直してみようと思ったときのために考慮しておくと便利なポイントもお伝えしておきます。
ソートをかけられるようにしておく
エクセルには、”ソート(並べ替え)”という便利な機能があります。
取引記録から、「利益を出せた取引は何が良かったのか」「損失を出した取引を確認して失敗から学びたい」などと考えた場合、このソート(並べ替え)を利用すれば確認したい取引を上位に表示させたり、確認したい取引だけを表示させたりすることができます。
ソート(並べ替え)は、列を選択して [ ctrl + shift + L ]を同時に押すか、リボンから並べ替えアイコンをクリックすることでできるようになりますね。

しかし、このソート(並べ替え)を利用するにあたり、気をつけなければならないポイントがあります。
それは、セルを結合しないという点です。
例えば、”市場(C列)”で「東証一部」のセルを結合してしまった場合、”損益率(L列)”でソートをかけようと思ってもできなくなってしまいます。

セルを結合してしまった方が見やすい場合もありますが、ソート(並べ替え)をかける可能性を考慮し、取引記録ではセルの結合はしない方が無難です。
特定の期間における記録もつけてみる
ここまでは個別株の取引記録についてみてきましたが、週間や月間の成績と市況を記録するのもおすすめです。
例えば、週ごとの損益、含み損益の推移、総資産の推移、日経平均などの情報を別シートで記録しておけば、個別株の取引と市況との関係なども見えてくるかもしれません。
自身の資産がどういう状況なのかを定期的に整理・把握できるという点でも効果的なので、週間や月間など特定の期間における記録もつけてみましょう。
チャートを載せるのもアリ
テクニカルの分析を取り入れたい方は、取引記録にチャートを載せておくという方法もあります。
エクセルでは行や列の幅も自由に変えられますので、一つ一つの取引記録にチャートを挿入する欄を作ってみましょう。
売買前後の期間まで含めれば、自身がどういうチャートからエントリーをして、売却後にどういう動きになったかまで確認できます。
下のようなイメージですね。

これ以外にも、ソートをかけられるようにリストの右端に小さくチャートを入れたり、1銘柄ごとにシートを分けたりという方法も考えられます。

チャートを入れておくことで気づくこともあると思いますので、数日単位の保有で頻繁に取引を行う方にとっては少し手間ですが、中長期保有で取引回数が少ない方はチャレンジしてみてもいいでしょう。
まとめ
株式投資を継続していく上で、過去の成功や失敗の取引から学ぶことは非常に重要です。
記録をノートや手帳に記していく方法もありますが、計算の手間や読みやすさ、カスタムの自由度を考えるとエクセルでの管理がおすすめです。
また、ソートをかけたりチャートを入れたりできる点も検証する際に使い勝手がいいですね。
まだ取引記録をつけていない方はこれからでも遅くはないので、エクセルを活用して取引記録をつけてみてはいかがでしょうか。
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