PER(株価収益率)は15~20%あたりが割安の目安と言われますが、もう少し細かくみると業種によって平均値が異なります。
また、割安かどうかの比較の際は同業種での他社比較を行うことが重要です。
割安株を探す際に参考にすることが多いPERについて、過去(2013~2019年)の実績より業種別のPER推移をまとめました。
市場によっても業種別の平均値は変わってきますが、JPX(日本取引所グループ)がまとめている統計資料を参考に業種別の東証一部銘柄の平均PER推移をグラフにしていますので、総合平均などとの関係性を含めて参考にして頂ければと思います。
今回は、「繊維製品」「パルプ・紙」「化学」「医薬品」の4業種です。
繊維製品
PER推移
「繊維製品」のPER推移はこちらになります。


2017年3月から2018年にかけて高い数値となっていますが、それ以外は直近5年でみると総合平均に近い推移と言えそうです。
時価総額ランキング
【3402】東レ(東証1部)
【3401】帝人(東証一部)
【3591】ワコールホールディングス(東証1部)
*3/30時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「繊維製品」の1位は、東レになります。
東レは炭素繊維複合材で世界トップとなっており、電子材料や水処理用逆浸透膜なども有力です。
3位のワコールホールディングスは婦人下着首位です。
なお、「繊維製品」に1兆円企業はありません。(2020年3月30日現在)
パルプ・紙
PER推移
「パルプ・紙」のPER推移はこちらになります。


2017年6月からの1年間は大きく総合平均を割っていますが、2018年6月以降は総合平均の2倍前後で推移しています。
ただ、『「パルプ・紙」業種に属する銘柄はPER30倍でも割安!』と安易に判断するのではなく、同業種・同規模での比較を必ず行いましょう。
時価総額ランキング
【3861】王子ホールディングス(東証一部)
【3941】レンゴー(東証一部)
【3880】大王製紙(東証一部)
*3/30時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「パルプ・紙」の1位は、王子ホールディングスとなります。
王子ホールディングスは製紙で国内首位となっており、時価総額では2位のレンゴーに2倍以上の差をつけています。
なお、「パルプ・紙」には1兆円企業はありません。(2020年3月30日現在)
化学
PER推移
「化学」のPER推移はこちらになります。


2017年の6月より総合平均に対してPERが下回ってはいますが、ほぼ連動した動きと言えそうです。
時価総額ランキング
【4063】信越化学(東証一部)
【4452】花王(東証一部)
【4901】富士フイルムホールディングス(東証一部)
*3/30時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「化学」の1位は、信越化学になります。
1位の信越化学は、塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハで世界首位です。
「化学」は1兆円企業も多く、上位3社に加えて資生堂、旭化成、日本ペイントホールディングス、三菱ケミカルホールディングスの7社の時価総額が1兆円を超えています。(2020年3月30日現在)
医薬品
PER推移
「医薬品」のPER推移はこちらになります。


直近5年は、総合平均に対してPERが高い状態が続いています。
時価総額ランキング
【4519】中外製薬(東証一部)
【4568】第一三共(東証一部)
【4502】武田薬品工業(東証一部)
*3/30時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「医薬品」の1位は、中外製薬になります。
中外製薬はスイスロシュ傘下の医薬品大手で、抗がん剤や関節領域に強みを持っています。
「医薬品」も1兆円企業が多く、アステラス製薬や大塚ホールディングスなど、9社が1兆円企業となっています。(2020年3月30日現在)
今回は以上になります。
企業の割安判断の際は常に最新のPERを算出し、同業種との比較を忘れないようにしましょう!
=関連記事=
-
-
株式投資の重要指標!PER(株価収益率)で企業の割安度をみる
続きを見る
-
-
業種別PERのまとめと時価総額
続きを見る