PER(株価収益率)は15~20%あたりが割安の目安と言われますが、もう少し細かくみると業種によって平均値が異なります。
また、割安かどうかの比較の際は同業種での他社比較を行うことが重要です。
割安株を探す際に参考にすることが多いPERについて、過去(2013~2019年)の実績より業種別のPER推移をまとめました。
市場によっても業種別の平均値は変わってきますが、JPX(日本取引所グループ)がまとめている統計資料を参考に業種別の東証一部銘柄の平均PER推移をグラフにしていますので、総合平均などとの関係性を含めて参考にして頂ければと思います。
今回は、「情報・通信業」「卸売業」「小売業」「銀行業」「証券・商品先物取引」の5業種です。
目次
情報・通信業
PER推移
「情報・通信業」のPER推移はこちらになります。


「情報・通信業」は2014年6月より、総合平均よりPERが高い状態が続いており、PER数値自体も上昇傾向となっています。
また、「情報・通信業」については新興市場に上場している企業数も多い為、今回はマザーズに絞ったPER推移も掲載しておきます。


*「-」は該当数値なし、またはPERがマイナス値の場合。「*」はPERが1,000以上。
新興市場は数値だけをみると非常に高いので割高な印象を受けますが、他社比較や今後の成長性などを考慮した上で投資判断を行うようにしましょう。
時価総額ランキング
【9437】NTTドコモ(東証一部)
【9432】NTT(東証一部)
【9984】ソフトバンクグループ(東証一部)
*4/2時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
情報・通信業の1位は、NTTドコモになります。
NTTドコモは携帯電話でシェア4割強を誇る国内最大手になります。
2位のNTTは国内通信事業の最大手で、3位のソフトバンクグループは参加に10兆円ファンドや携帯子会社があります。
ちなみに、マザーズの情報・通信業の1位はメルカリです。
なお、「情報・通信業」はランキング記載の3社に加えて、KDDIやZホールディングス、LINEなど、1兆円企業が12社あります。(2020年4月2日現在)
卸売業
PER推移
「卸売業」のPER推移はこちらになります。


「卸売業」のPER推移は総合平均と連動した動きをみせることが多いですが、数値は総合平均より低い状態が続いています。
時価総額ランキング
【8058】三菱商事(東証一部)
【8001】伊藤忠商事(東証一部)
【8031】三井物産(東証一部)
*4/2時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「卸売業」の1位は、三菱商事になります。
三菱商事は総合商社大手で、三菱グループの中核になります。
また、2位の伊藤忠商事は繊維・食料、3位の三井物産は鉄鉱石・原油の生産権益量に強みを持っています。
なお、「卸売業」の1兆円企業は5社になります。(2020年4月2日現在)
小売業
PER推移
「小売業」のPER推移はこちらになります。


「小売業」のPERは2014年6月以降、総合平均より高い状態が続いています。
時価総額ランキング
【9983】ファーストリテイリング(東証一部)
【3382】セブン&アイ・ホールディングス(東証一部)
【8267)イオン(東証一部)
*4/2時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「小売業」の1位は、ファーストリテイリングになります。
ファーストリテイリングは、『ユニクロ』を世界展開する世界3位のSPA大手です。
2位のセブン&アイ・ホールディングスは国内2位の流通グループで、3位のイオンが国内流通では1位となっています。
なお、「小売業」の1兆円企業は、ニトリホールディングスと『ドン・キホーテ』を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスを含めた5社になります。(2020年4月2日現在)
銀行業
PER推移
「銀行業」のPER推移はこちらになります。


基本的に総合平均に連動した動きですが、特徴として「銀行業」のPERは総合平均よりかなり低いです。
時価総額ランキング
【8306】三菱UFJフィナンシャル・グループ(東証一部)
【7182】ゆうちょ銀行(東証一部)
【8316】三井住友フィナンシャルグループ(東証一部)
*4/2時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「銀行業」の1位は、三菱UFJフィナンシャル・グループとなります。
三菱UFJフィナンシャル・グループは、国内最大の民間金融グループです。
2位のゆうちょ銀行は、預貯金額で国内最大となっております。
なお、「銀行業」には1兆円企業が5社あります。(2020年4月2日時点)
証券・商品先物取引
PER推移
「証券・商品先物取引」のPER推移はこちらになります。


*「-」は該当数値なし、またはPERがマイナス値の場合。
しばらく総合平均より数値が低い状態が続いていましたが、2019年6月以降、総合平均に近い数値で推移しています。
時価総額ランキング
【8604】野村ホールディングス(東証一部)
【8601】大和証券グループ本社(東証一部)
【8473】SBIホールディングス(東証一部)
*4/2時点の日本経済新聞 時価総額上位ランキングより
「証券・商品先物取引」の1位は、野村ホールディングスになります。
野村ホールディングスは証券の国内最大手で、国内営業はコンサル重視の企業になります。
2位の大和証券グループ本社は国内2位の大和証券を核に、資産運用やネット銀行等を併営しています。
なお、「証券・商品先物取引」の1兆円企業は野村ホールディングスのみとなっています。(2020年4月2日現在)
今回は以上になります
企業の割安判断の際は常に最新のPERを算出し、同業種との比較を忘れないようにしましょう!
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