2019年に新規上場を果たしたオーナー企業を紹介する「頑張れ!創業社長」のコーナーです。
このコーナーは、テンバガー銘柄の発掘を狙いとしております。

株式投資を行うなら一度はテンバガー銘柄を保有してみたいと思う方も多いと思いますが、過去の傾向より、テンバガー銘柄の共通点として下記の条件が挙げられます。
- 時価総額300億円以下
- 上場してから5年以内
- 株価が500円以下の低位株
- オーナー企業で、創業者が筆頭株主
他にも業種や成長性などの条件を挙げられることもありますが、概ねこのような条件の銘柄がテンバガー銘柄となる可能性が高いです。
このコーナーで新規上場のオーナー企業を紹介することで、憧れのテンバガー銘柄選びの参考にして頂ければと思います。
今回は、6月に上場したこの企業を取り上げます。

創業社長

社長紹介
では、見事東証マザーズに上場を果たした創業社長をご紹介します!
寺田 親弘社長です!!
寺田社長は1976年東京都生まれ。
慶應義塾高等学校から慶應義塾大学環境情報学部へ進み、1999年に三井物産に入社されます。
情報産業部門に配属後、米国・シリコンバレーでベンチャー企業の日本向けビジネス展開事業に従事し、帰国後2007年に三井物産を退職してSansan株式会社を創業されています。
ちなみに父親も実業家で、小学生の頃から起業を考えていたそうです。
株主へのメッセージ
Sansan株式会社は、2007年の創業から13期目となる2019年6月19日に、東京証券取引所マザーズ(証券コード:4443)へ上場いたしました。ここに謹んでご報告申し上げるとともに、これまでの皆さまのご支援、ご高配に心から感謝申し上げます。
当社グループは、「出会いからイノベーションを生み出す」ということをミッションに掲げ、創業以来一貫して名刺管理を軸としたビジネスを展開し、当該市場をリードしてまいりました。そして現在では、名刺管理だけに留まらず、ビジネス・プラットフォームとして、企業やビジネスパーソンが抱える課題の解決につながるさまざまなソリューションサービスを提供しております。この背景には、当社のサービスによって、生産性の向上といった一側面だけではなく、ビジネスや人と人の出会いそのもののあり方の進化や、新たなビジネス機会の創出等に寄与していきたいという強い思いがあります。
創業からこれまでを振り返ると、大きく2つのフェーズがありました。
最初のフェーズである2007年から2012年までの6年間では、約7,000万円の資金調達を行いました。SaaSビジネス全盛の今からみると小さな額ではありましたが、当時の時代背景や市場環境等も考慮した上で、その資本で会社を運営し、利益水準も意識しながら事業を伸ばしてまいりました。そして、次のフェーズである2013年から2018年までの6年間では、SaaSビジネスに対する事業環境の変化をタイムリーに捉え、総額100億円を超える資金調達を行い、テレビコマーシャルを中心とした広告宣伝活動や人材採用等の先行投資を強化し、売上高の成長を追求してまいりました。この結果、創業以来、売上高の年平均成長率は50%を超える水準となり、2019年5月期の売上高は102億6百万円に拡大いたしました。また、2020年5月期の売上高については、前年同期比35.4%増の成長を見込んでおります。常に「非連続な成長を実現すること」を目標に掲げ、強い意思をもって会社経営、事業運営に取り組んできた結果として、成長を止めることなく前進を続けることができたと捉えております。
そして、これからも、常に新しいフェーズを創っていく必要があります。当社の提供するサービスは、強固なビジネス・プラットフォームになり得る要件を数多く兼ね備えており、「世界に挑むビジネス・プラットフォーム」として、さまざまな取り組みを進めてまいります。これまでの延長であるオーガニックでの強い成長に、非オーガニックでの成長も付加していくことで、事業成長を加速させ、株主価値及び企業価値の最大化を図ってまいります。
株主・投資家の皆さまにおかれましては、今後とも当社グループへのより一層のご支援とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
HP CEOメッセージより
非常に計画的かつ野心的な印象を受けるメッセージですね。
ではSansan株式会社の会社概要をみていきましょう。
会社概要

ミッション
出会いからイノベーションを生み出す
Sansanは、企業やビジネスパーソンが抱えるさまざまな課題の解決に繋がるサービスを生み出すことを目指して事業活動に取り組んでいます。

事業内容
下記、Sansan株式会社の事業内容になります。
名刺管理サービス会社。法人向けクラウド型名刺管理サービス「Sansan」及び個人向け名刺管理アプリ「Eight」の提供。Sansan事業(名刺をデータ化、人と人のつながりを情報として可視化・共有できる、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」提供)、Eight事業(SNSの仕組みを取り入れ、名刺をビジネスのつながりに変える名刺アプリ「Eight」提供)事業を展開。「Sansan」はAI名刺管理、顧客管理、同僚コラボレーション、顧客データHub等の機能を持つ(導入社数6000社超)。2019年ウイングアーク1stと資本業務提携。
引用:マネックス銘柄スカウター
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Sansan株式会社は、企業や個人のビジネス・コンタクトを資産として活用できるプラットフォームを提供する、名刺管理のクラウドサービスを行っています。
俳優の松重豊さんが出演するTV CMを見ると、「あぁ、あのCMの会社か!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
事業としては、法人向け名刺管理サービスのSansan事業と個人向け名刺管理サービスのEight事業の2つになります。

それでは、それぞれの事業について詳しくみていきましょう。
Sansan事業
Sansanでは、企業に眠る名刺をビジネスに使える資産に変える「名刺管理」機能を提供しています。
名刺管理サービスとしてはシェアNo.1となっており、業種・業態問わず、中小企業から数万人規模の大手企業まで幅広く利用されています。


こういった企業が抱える課題である以下の点に着目し、名刺管理機能や顧客情報を入口としたさまざまな機能を提供しています。
- 名刺交換情報が社内で共有されていない
- 社内コミュニケーションが円滑にできていない
- 名刺情報が持つ価値に気付けていない

Sansanは、ただ単に名刺を登録して管理するというものではありません。
名刺をはじめとしたあらゆる「顧客データ」を連携し、企業の成長に貢献します。
Sansanを活用するメリットについては、以下が挙げられます。
営業を強くする
AI + 手入力で名刺を99.9%の精度でデータ化し、昇進や異動などの人事異動情報も自動で集約できるため、社内に眠る人脈を全社で有効活用することができます。
コラボレーションを活性化する
Sansanの導入で部門を超えたコミュニケーションをスムーズに行うことができるようになり、必要な情報を素早く手に入れることが可能になります。
データ統合からマーケティングを加速する
社内のあらゆるデータを正規化・統合・リッチ化することが可能な上、名寄せとデータクレンジングを自動で行うことで高品質な顧客マスタを構築することができます。
コンプライアンスを強化する
名刺をスキャンするだけで反社企業の一次チェックが可能になるため、企業のコンプライアンス強化を実現します。
採用力をあげる
ビジネスSNS Eightを組み合わせることで名刺を起点とした”つながり”を活用し、「人脈資産」を「採用資産」としてスピーディーかつ効率的な採用を可能にします。
さまざまな業務をつなぐ
Sansanに登録された企業情報や人物情報に対して、さまざまな外部サービスを連携することによって正確な情報取得とアプローチが可能になります。
Eight事業
Sansanは法人向けのサービスでしたが、Eightは個人向けのサービスになります。
ビジネスパーソンが抱える以下のような課題を解決する為、「Sansan」で培ったテクノロジーにより名刺を高い精度でデータ化。
国内ビジネスSNSで最大級のアクティブユーザー数を有するプラットフォームを提供しています。

Eight事業はまだ成長過程の事業となっており、現在は営業赤字となっています。
しかし、ユーザー数は着実に増加傾向となっており、直近の決算では赤字幅を縮小していますので、今後の成長に期待が持てます。

新事業戦略「Sansan Plus」
Sansanは、新事業戦略として「Sansan Plus」を発表しています。
さまざまな業務を「Sansan」がつなぎ、効率的に管理するビジネスプラットフォームです。
これは、3つの概念から構成される事業戦略となります。

他社サービス連携やパートナーとの協業を強化し、ユーザー・パートナー・Sansanの3者間で相互にメリットを得る仕組みとなっています。

業績・指標

売上推移

売上高についてはきれいな右肩上がりのグラフです。
利益についても2018年からは大きく改善し、高成長が続いています。
営業利益が赤字となっていたEight事業についても、直近の決算では順調に赤字幅を縮小していますし、新事業戦略の「Sansan Plus」により更なる成長が期待できます。
それぞれの事業の成長戦略については、以下の通りとなっています。

指標

5/15現在の株価は5,000円です。
直近の決算では当期純利益がまだ赤字な為、ROEやROAはマイナスとなっており、PERは算出不能となっています。
ただ、既に時価総額1,557億円と大きく、テンバガー要件として設定している基準とは大きく乖離しています。
また、株価も5,000円と高い為、テーマ株として注目されるようなことになったとしてもすぐにテンバガーを達成するのは難しそうです。
チャート

5/15時点の週足チャートです。
上場後、3,500~6,500円の間でのレンジ相場となっています。
レンジをどちらに抜けるか、現段階では判断が難しい状況ですね。
個人的には、無理に今の段階でエントリーする必要はないかなといった印象を受けます。
まとめ
新型コロナの影響でリモートワークや在宅での勤務が拡大していることを背景に、「Sansan」の新機能として「オンライン名刺/オンライン名刺交換」の提供を予定するなど、今後も新しいサービスを生み出してくれるのではないかという期待が持てる企業です。
ただ、テンバガーを狙うという点で考えると時価総額の大きさや株価の高さから、短期スパンでの達成の可能性は低いのではないかと思います。
以上、Sansan株式会社の銘柄紹介となります。
ここで紹介した内容は購入を推奨するものではありません。あくまでも、自己責任において投資判断をお願いします。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。